「デザイン型人材」は、モノをつくる職能を持ったデザイナーだけを限定的に示すのではありません。本記事では、「Creativity(デザイン)」のスキルに強みのある人材としてのデザイン型人材に必要な考え方や姿勢のマインドセットと、ユーザーや社会の課題に対して取り組むための必須スキルについて解説します。
イノベーションを生み出すことができる組織となるためには、「Business」「Technology」「Creativity」の3つの領域が統合してつながっていることが重要です。ビジネスの観点とテクノロジーの観点、そしてデザインの観点のいずれも欠けることなく、チームの中で統合して存在することで新たなイノベーションを起こすことができます。
「デザイン型人材」は、モノをつくる職能を持ったデザイナーだけを限定的に示しているのではなく、「Creativity(デザイン)」のスキルに強みのある人材を示しています。「人間中心」「共創的」「反復的」「包括的」「持続的」の5つのマインドセットを持ち、人を巻き込み先導し、共に創ることができる力の「共創力」、抽象的な問題やニーズから課題を特定し解決する力の「問題解決力」のスキルでユーザーや社会の課題に対して取り組むことができる人材です。
デザイン型人材として必要な考え方や姿勢には、以下の5つがあります。
人間中心設計とは、人間の行動や思考を理解し、使いやすくするための知識や手法を活用し、ユーザーが触れるプロダクトやサービスを設計するという考え方です。プロダクトやサービスをつくるときには、この人間中心設計を念頭に置き、ユーザーの気持ちや状況、思考への理解を深めていきます。
価値共創とは、ユーザーがプロダクトやサービスの利用後に得られる「体験としての価値」のことを指します。企業は多様な価値を提案しますが、その価値を最終的に決めるのはユーザーです。企業とユーザーが一緒になってプロダクトやサービスの価値を共創していきます。
デザインは一方通行の直線的なプロセスではなく、実装のために探索・改善・検証のプロセスを反復し、より良い状況をつくることが重要です。ユーザーの課題やニーズを探索し、改善と検証を重ね、完成形に近い状態に進化をさせていきます。
ユーザーはさまざまな文脈や関係性のもとに、プロダクトやサービスを利用します。そこにはユーザー自身の上司や同僚、家族など取り巻く人や所属する組織の状況が強く関与しています。プロダクトやサービスをつくるときには、取り巻く利害関係者や環境を俯瞰して捉えることが重要です。
持続可能性(サスティナビリティ)とは、社会全体のシステムに目を向け、俯瞰的な視点で社会や環境への影響を考慮するという考え方です。持続的なサービスを実現するためには、特定の分野や人に焦点を当てるのではなく、システム全体を捉え、根本的な問題に対処できるような仕組みや設計を行う必要があります。
デザイン型人材のスキルセットは「共創力」「問題解決力」の大きく2つのスキルが存在します。
共創力は人を巻き込み先導し、共に創ることができる力で、「推進力」「キャスティング力」「ファシリテーション力」の3つに分けることができます。
問題解決力は抽象的な問題やニーズから課題を特定し解決する力で、「洞察力」「構造化力」「分析力」「可視化力」「創造力」の5つに分けることができます。
本記事では、デザイン型人材に必要な考え方や姿勢のマインドセットと、ユーザーや社会の課題に対して取り組むための必須スキルについて解説しました。デザインが社会で果たす役割も多様化している現在、「Creativity(デザイン)」のスキルはモノをつくる職能を持ったデザイナー以外にも求められています。今回記載したデザイン型人材のマインドセットやスキルセットを、ぜひ人材育成のポイントとして役立ててみてください。