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デザインとは? デザインの領域を階層で解説

2023-04-26
人材育成
#基礎知識

一般的にデザインと聞くと、見た目の美しさや見映えの良さを思い浮かべますが、それは表面的な部分だけのデザインを指します。きれいな見た目や使いやすさの裏には、それを担保するためのプロダクトの戦略や機能要件、情報の整理などが必要です。本記事では、階層的なデザインの各領域と、デザイナーのスキルについて解説します。

デザインの領域

デザインとは何か ― デザインの語源

デザインという言葉の語源は、「計画を記号に表す」という意味のラテン語「designare」にあるといわれています。「デザイン」は「見た目」だけではなく、思考や概念を組み立てて「設計すること」や「問題を解決すること」を意味し、それを様々な媒体に応じて表現することを指します。

※英語での「design」の本来の単語は「de=外へ」「sign=記号、記す」という意味を持ちます

階層で見るデザインの領域

一般的にデザインと聞くと、見た目の美しさや見映えの良さを思い浮かべますが、それは表面的な部分だけのデザインを指します。デザインとは、プロダクトをきれいにしたり、見栄えをよくすることだけではありません。きれいな見た目や使いやすさの裏には、それを担保するためのプロダクトの戦略や機能要件、情報の整理などが必要です。

デザインの5層
・表層 (Surface/ビジュアルデザイン)
・骨格 (Skeleton/インフォメーションデザイン、ナビゲーションデザイン、UIデザイン)
・構造 (Structure/インフォメーションアーキテクチャ、インタラクションデザイン)
・要件 (Scope/ユーザー体験、機能要件の定義)
・戦略 (Strategy/サービスや事業方針の定義)

デザインの領域では、これらの5つの要素がレイヤー構造となって密接に関わり合っています(デザイン5層)。デザインを構成する要素は表面の目に見えるデザインだけではなく、骨格、構造、要件、戦略といった「計画や設計」「問題解決」のデザインが重要です。

デザイン5層

表層 (Surface/ビジュアルデザイン)

表層デザインは、プロダクトやサービスがユーザーにもたらす感性的な要素となります。「クール」や「美しい」など、ユーザーの感情に訴えかける世界観や見た目を設計するデザイン領域です。

骨格 (Skeleton/インフォメーションデザイン、ナビゲーションデザイン、UIデザイン)

骨格デザインは、ナビゲーションの構造図や扱う情報の構造などを用いてワイヤーフレームの作成などを行う要素となります。ユーザーが行いたい操作に対して適切な操作手段を設計する機能美としてのデザイン領域です。

構造 (Structure/インフォメーションアーキテクチャ、インタラクションデザイン)

構造デザインは、ユーザー体験に必要な機能とインターフェースをどのような情報とデータの構造で実現するのかという部分の要素になります。ユーザーの思考や行動(メンタルモデル)から構造を設計し、目に見えるインターフェースへモデリングするデザイン領域です。

要件 (Scope/ユーザー体験、機能要件の定義)

要件定義デザインは、サービスやプロダクトを通してユーザーが体験するストーリー、プロダクトに必要な機能仕様や要件などの要素となります。ユーザーの欲求や課題を可視化・発見し、理想的な体験から何を作るのか要件を定義するデザイン領域です。

戦略 (Strategy/サービスや事業方針の定義)

戦略デザインは、どのような価値を誰に届けるのかを検討し、それを実現するためのサービスやプロダクトの目的・原点となる要素となります。ビジネスデザインとも呼ばれ、全てのデザインプロセスの土台となり、事業目標や事業戦略をもとに顧客の目的やニーズを明確にし、事業と顧客諜報にとって持続的な戦略を設計するデザイン領域です。

デザイン領域とデザイナー

デザイナーは、それぞれのデザインの領域に特化したスキル持つ職能です。しかし、デザインの領域は5つの要素がレイヤー構造となって相互に影響を与えています。デザイナーは、それぞれの業務の必須スキル以外にも、各デザインの領域のスキルを縦断的に獲得している状態が理想と言えます。

まとめ

本記事では、階層的なデザインの各領域と、デザイナーのスキルについて解説しました。デザインを構成する要素は表面の目に見えるデザインだけではなく、骨格、構造、要件、戦略といった「計画や設計」「問題解決」のデザインが重要となります。デザイナーが業務における必須スキル以外の領域を学ぶことは、スキルアップの方法とひとつと言えるでしょう。

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