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デザインの品質を上げるためには?WEBデザイナーのスピードアップ編

2023-06-07
人材育成
#スキルアップ

デザインの品質を上げるためには、どのような手段が有効でしょうか。多くのデザインの制作に携わるためには、制作にかかるスピードを上げることも不可欠な観点となります。本記事では、WEBデザイナーの作業スピードアップのために、デザインの作業工程を整理し、デザイナーの成長ステップごとのポイントを解説します。

WEBデザイナーの作業工程

まずはWEBデザイナーの作業工程を整理してみましょう。WEBデザイナーの作業工程では、大きく以下の6つの作業ステップに分けられます。また、それぞれのステップでの作業内容を具体的に解説していきます。

WEBデザイナーの作業ステップと作業内容
1. ヒアリング・目的の言語化 【情報収集・整理】
2. 競合や類似デザインの調査【調査】
3. デザインの方向性定義【思考と判断】
4. 定義した方向性でのデザインパターン調査【調査】
5. デザイン要素/表現の選定【思考と判断】
6. デザイン制作【操作】

情報収集・整理

「情報収集・整理」はクライアントのヒアリングを行うステップです。デザインには必ず目的があります。ビジネスとしてどんな目的で、誰に向けて、どんな課題や欲求を解決するために今回のWEBデザインを行うのか、というベースとなる考え方や背景の聞き取りを行いましょう。

この際WEBデザイナーは、デザインを行うにあたって必要な情報をクライアントから引き出すためのヒアリング事項の準備やヒアリング後の情報整理を行います。この作業はクライアントからの情報を正しく整理し、今回のWEBデザインの目的を言語化・構造化し、社内外での方針のすり合わせを行うために重要なステップです。時間をかけて丁寧に実施しましょう。

調査

「調査」は、実際にWEBデザインを行うにあたり、デザインの引き出しを収集するためのステップです。今回の目的からどんな方向性でWEBデザインを行っていくべきか、世の中のサービスやサイト、デザイン表現をインプットする時間となります。

この調査のタイミングで起こりがちなのが、ずっと調査をしており、なかなか作業に入れていなかったり、結局何を知りたかったのか調査の目的があいまいなまま、ただ時間が過ぎてしまうような状態です。「何を知りたいのか」を具体的にイメージしながら時間の区切りをつけて調査を行い、取捨選択しながら情報を収集・ストックしていきましょう。

思考と判断

「思考と判断」は、どんな方向性でどんなデザイン要素を選択するのかを検討するステップです。WEBデザインを行う際にいきなり画面のデザイン作業に入らずに、思考と判断をする時間をしっかり設けましょう。いきなり手を動かす作業に入ってしまうと、細かな部分に目がいってしまったり、何が良いとされるデザインなのかがわからず闇雲に作業をしてしまう状況が起きてしまいます。

WEBデザインは、クライアントからヒアリングした「目に見えない要件」を具体的な「目に見える情報」にデザインという手段を使って形作っていく「抽象から具体」の作業工程です。この作業はとても難易度が高く、労力もかかる作業のため、余裕を持ったスケジューリングを行いましょう。

操作

「操作」は、Figmaなどのデザインツールを使って実際にデザインを行っていくステップです。この作業にかかる時間は、主にツール操作のスピードに左右されます。多くのデザインパターンを作って試行錯誤しながら、いかにクオリティの高いものを作り上げることができるかが問われます。

ここで重要なのは、操作を無意識で行える状態になっていることです。どこに何のツールがあるのか、どう使うのかを考えなければ操作ができない状態であれば、まだスピードは完全な状態ではありません。使用するデザインツールに慣れ、直感的に操作を行えるようにしましょう。

成長ステップごとの状態と作業スピードアップ方法

デザイナーの成長ステップは、一般的に下記のような種類に分けることができます。それぞれのステップでの作業スピードアップのポイントについて解説します。

WEBデザイナーの成長ステップ
・導入期
・基礎構築期
・アシスタント期
・戦力化期

導入期

WEBデザイナーとしてキャリアを歩み始めたばかりで、デザインの基本的な知識はあるものの、それを実践として表現することはまだできていないWEBデザイナーを「導入期」とします。

ステップ6の「操作」を鍛錬している時期

導入期のWEBデザイナーは、デザインに必要な基本的な操作を習得している時期となります。実務に必要なツールや知識を学習し、インプット量を増やしましょう。

作業スピードアップのために

使用するデザインツールに慣れましょう。また、世の中にある良しとされるデザインや利用頻度の高いデザイン表現を真似することでも作業スピードは向上します。できる限り手を動かして、無意識でもデザインツールの操作ができる状態を目指し、実務で行う作業を早く・丁寧に行うことを意識してください。

基礎構築期

デザインの基本的な知識・作業のフォローを受けつつ、進行ができるWEBデザイナーを「基礎構築期」とします。実際の案件や業務の中で一部のデザインを担当し、フィードバックやサポートを受けながら、デザイン作業の一連の流れの経験を積みます。

ステップ4〜6の「調査 → 思考と判断 → 操作」を鍛錬している時期

基礎構築期のWEBデザイナーは、デザインの基本的な作業を実践を通して学んでいく時期となります。先輩デザイナーから一部のデザイン作業の依頼を受けたときには、デザインをするにあたって引き出しを増やすための調査を行いましょう。どんなWEBデザインにするのかのデザイン要素を選定し、実際にWEBデザインを作っていく工程を経験してください。

作業スピードアップのために

各工程での自身の作業時間を把握しましょう。時間の把握は、自身の課題をしっかり特定し、それに適切に対処するために必要となります。また、自身が行ったデザインアウトプットとその工程のフィードバックを受けましょう。先輩デザイナーとの経験の差を埋めることができる可能性や適切な対処法を進言してもらえるはずです。基礎構築期のWEBデザイナーは、自身の状態を適切に把握できることと、他者からの意見を受け入れることを意識してください。

アシスタント期

先輩WEBデザイナーのアシスタントして、画面デザインなどの複数のデザインの進行ができるWEBデザイナーを「アシスタント期」とします。実践の中でインプットとアウトプットを繰り返し、フィードバックを受けながら、自身でデザインの品質を引き上げるための行動ができるようになります。

ステップ1〜6の一連の工程を鍛錬している時期

アシスタント期のWEBデザイナーは、実践を通して経験を積み上げ、状況に合わせたデザインの方法や選択肢を学んでいく時期となります。アシスタントとして役割の大きなデザイン作業を担当し、各ステップを実務の中で経験することで、WEBデザイナーとしての動き方やデザイン品質についての考え方を構築し、自身でデザインのクオリティを引き上げていくための工程を経験してください。

ステップアップのために

アシスタント期のWEBデザイナーは、多くの役割を担うことができ、デザイナーとして様々な経験を積むことができます。様々なデザインの経験を積みましょう。まだ先輩のフォローは必要ではありますが、戦力化期にステップアップするために、デザイナーとしてのいくつもの壁を自身の力で乗り越え、視座を高め、視野を広げていくことが重要です。自身の作業範囲を完遂するだけではなく、一連の工程をメインデザイナーの立場を想像しながら経験することができるようになると、次のステップに進むことができます。

戦力化期

メインWEBデザイナーとしてデザインフェーズの一連のステップをリードできるWEBデザイナーを「戦力化」期とします。WEBデザイナーとして高めたいスキルなどによりキャリアが分かれていく時期でもあります。

ステップ1〜6の一連の工程をリードし、デザイナーとしての強みが際立ってくる時期

戦力化期のWEBデザイナーは、多くのデザイン経験を積み、一連の工程をリードしていくことができる時期となります。作業スピードそのものよりも、デザイナーとして極めて行きたい「スキル」に焦点があたり、キャリアの方向性によって担当領域が異なってきます。

ステップアップのために

戦力化期のWEBデザイナーは、一連の経験を積んできたことで、デザイナーとしてのスキルやマインドが形作られています。今後のキャリアを考えていくために、自分のWEBデザイナーとしてのスキルの現在値を把握し、強みを客観的に理解しましょう。また、どんなデザイナーになっていきたいかを明確にしていくこともステップアップに必要となります。昨今デザイナーの担当領域は変化し、広がっています。幅広い知識や経験から総合的にサポートを行うジェネラリスト的なデザイナーやデザインの特定分野を専門とするスペシャリスト的なデザイナー、デザインに関する教育やマネジメント業務など、様々な選択肢の可能性があります。自身が何を目指していくのか、この時期にあらためて考えてみてください。

まとめ

本記事では、WEBデザイナーの作業スピードアップのために、デザインの作業工程を整理し、デザイナーの成長ステップごとのポイントを解説しました。WEBデザイナーとしての現在地を見極め、作業スピードアップのためのポイントを意識しながら担当する業務にあたることが、より良いアウトプットを制作するための近道となります。本記事を参考にして、デザインの作業スピードアップを目指してみてはいかがでしょうか。

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