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プロジェクトにUXの視点を取り入れたい!UXデザイナーに求められる役割とスキル

2023-06-27
サービスデザイン
#基礎知識

要件定義や基本設計などのプロジェクトの上流工程に、UXの視点を取り入れていくためには、具体的にはどのようなスキルが必要となるでしょうか。本記事では、プロジェクトをリードするUXデザイナーの役割と、求められるスキルについて解説します。

プロジェクトにUXの視点を取り入れるには

UXデザイナーの役割

要件定義や基本設計などのプロジェクトの上流工程では、「何をどう実現するか?」を検討するための前提となる「何をつくるか?」を定義することが重要なプロセスと言えるでしょう。

UXデザイナーがそのプロセスをリードするためには、「基礎スキル」を土台にした「事業視点のスキル」「ユーザー視点のスキル」の双方が求められます。

UXデザイナーの基礎スキル

基礎スキルは、ユーザー視点でプロジェクトをリードするためのマインドセットとスキルセットを指します。

デザイン思考

ユーザー視点での問題を解決する考え方とプロセスで活躍する手法のひとつに「デザイン思考」があります。デザイン思考は「世の中にはどんな課題があり、ユーザーは何が欲しいのか」というインサイトを探り、問題解決やニーズを満たすプロダクトをつくるために発散と収束を繰り返しながら、アイデアを具体化させていく思考方法です。

ダブルダイヤモンドモデル

デザイン思考のプロセスを明確に、包括的かつ視覚的に説明するモデルとして代表的なものが「ダブルダイヤモンドモデル」です。左側の「課題を見つける」ダイヤモンドは正しい問題を見つけるためのダイヤモンドで、顧客インサイトを探り(Discover/探索)、顧客課題を定義する(Define/定義)期間にあたります。右側の「解決案をつくる」ダイヤモンドは正しい解決策を見つけるためのダイヤモンドで、課題解決のためのアイデアを出し(Develop/展開)、そのアイデアを具現化する(Deliver/提供)期間にあたります。

顧客の潜在的なニーズを知り、解決したい課題に対してアイデアを発散し、検証を重ねて、アウトプットの質を上げていくことができます。

UXデザイナーは、まず第一に解くべき本質的課題の精度を上げるための発散と収束、解決策を定義するための発散と収束、の2つのフェーズを意識してプロセスをリードするようにしましょう。

ファシリテーション

ダブルダイアモンドのプロセスを実践するにあたって、目的を軸に、各フェーズでアイデアの可能性や顧客からのインサイトをできる限り引き出し、その後確実に収束にもっていくスキル「ファシリテーション」も不可欠な基礎スキルとなります。

UXデザイナーの事業視点のスキル

事業視点のスキルは、UXがどのように事業に貢献できるかを検討するためのスキルを指します。

ビジネスモデル理解

UXデザイナーはユーザーの体験をデザインしますが、そもそもの事業がまだ存在していない場合、ユーザー体験も存在していない状態です。対象となる新規事業やクライアントのビジネスモデルを理解し、「UXを高めてどのような事業成果を出したいのか?」「サービスのどのようなシーンで特にUXが重視されるべきのか?」といった視点を持ち、UXデザインを実践することがプロジェクトの上流工程を担うUXデザイナーに求められるスキルとなります。以下のような事業を構造的に理解するためのフレームワークを活用しましょう。

事業を構造的に理解するためのフレームワーク例
・CVCA
・ビジネスモデルキャンバス
・バリュープロポジションキャンバス

UXデザイナーのユーザー視点のスキル

ユーザー視点のスキルは、ユーザーを理解し、体験を定義し、体験を具体的な形に変換するためのスキルを指します。「何をつくるか?」をユーザー視点から定義することが、UXデザイナーがプロジェクトの上流をリードする際に担う最も重要な役割です。ユーザー視点のスキルには、主に「UXデザインスキル」「構造デザインスキル」の2つのスキルが挙げられます。

UXデザイン

ユーザー視点のスキルとしてまず求められるのは、「UXデザイン」のスキルです。UXデザインのスキルでは、ユーザーを理解するためのリサーチスキルに加え、ユーザー体験を定義するためのフレームワークを学び、活用できる種類を増やしましょう。

ユーザー体験を定義するためのフレームワーク
・ストーリーボード
・カスタマージャーニーマップ

構造デザイン

ユーザー視点のスキルとして次に求められるのは、「構造デザイン」のスキルです。これまでのプロセスでユーザー体験として抽象的に整理した要素を、実際のユーザーが見る情報や体験、使用するプロダクトといった具体に変換できて初めてユーザー体験は実現されます。理想の顧客体験のために必要となる要素を洗い出し、サービスやプロダクトの構造に変換するためのスキルが不可欠です。

ユーザー体験を構造化するためのスキル
・オブジェクト指向UIデザイン

まとめ

本記事では、要件定義や基本設計などのプロジェクトの上流工程でUXの視点を取り入れるためのUXデザイナーの役割と、求められるスキルについて解説しました。ぜひ本記事を参考に必要なプロセスやスキルについて見直していただき、サービスやプロダクトの理想的なユーザー体験の実現を目指してみてください。

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