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学び方から活用まで!初心者でも理解できるUX改善のための基礎知識

2023-07-04
UXデザイン
#基礎知識

UXデザインは、サービスがユーザーにとってどのように機能し、どのように感じるかを理解して改善するためのプロセスです。UX改善に必要な具体的なスキルを身につける準備として、基礎となる知識をしっかりと習得しましょう。本記事では、UX改善に必要な基礎知識とそれらを学ぶ方法、基礎知識に紐づいたUX改善に活用するための評価項目について解説します。

UCD(ユーザーセンタードデザイン)

UCDとは

UCD(ユーザーセンタードデザイン)は、サービスの設計において、ユーザーのニーズや要求を中心に置き、ユーザーの視点から最適な体験を提供するアプローチです。ユーザーのニーズに基づいたデザイン決定を行うことで、UXを向上させることができます。

UCDの基礎を学ぶ方法

ユーザーを中心に置いてデザインするというUCDの基本的な考え方を理解することから始めましょう。一度にすべてを学ぶ必要はありません。一つ一つのスキルや知識をじっくりと身につけながら、常に新しい知識やスキルを継続的に学び、適応することが重要です。

関連書籍などでの学習
『誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論』
『デザインリサーチの教科書』
『人間中心設計入門 (HCDライブラリー)』
『ユーザ中心ウェブビジネス戦略 顧客心理をとらえ成果を上げるプロセスと理念』
『UXデザインの教科書』 など

UCDをUX改善に活用するための評価項目

UCDをUX改善に活用するための主な評価項目として以下のものがあげられます。評価項目は、UCDの主要な原則である「ユーザーの理解」、「設計の反復」、「ユーザーテスト」、「フィードバックの取り入れ」が適切に行われているかを判断するためのものです。これらの評価基準を満たすことで、サービスの使いやすさと効率性が向上し、ユーザーにとって最適な体験を提供できるようになります。

1. ユーザー理解の深さ: ユーザのニーズ、動機、課題が明確に理解されているか
2. プロトタイピングとテスト: プロトタイプが作成され、テストを通じて反復的に改善されているか
3. ユーザビリティ: 使いやすく直感的であるか、ユーザの目標達成までに問題が生じないか
4. アクセシビリティ: 障害を持つユーザーや高齢者など様々なユーザーが使いやすいかどうか
5. ユーザーフィードバックの取り入れ:ユーザーの声が設計や改善プロセスに反映されているか

ユーザビリティとアクセシビリティ

ユーザビリティとアクセシビリティとは

ユーザビリティはサービスが使いやすいかどうかを評価するための基準で、アクセシビリティは障害を持つ人々を含む全てのユーザーがサービスを使用できるかどうかを評価するための基準です。これらの基準を満たすことで、ユーザーの多様なニーズに応えることができるようになります。

ユーザビリティとアクセシビリティの基礎を学ぶ方法

ユーザビリティとアクセシビリティは、UXを理解し改善するための重要な要素です。これらの基礎をしっかり学ぶことで、より広範なユーザーにとって使いやすく、理解しやすい製品やサービスを提供することが可能になります。

関連書籍などでの学習
<ユーザビリティ>
『超明快 Webユーザビリティ ―ユーザーに「考えさせない」デザインの法則』
『ユーザビリティエンジニアリング(第2版)―ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法』 など

<アクセシビリティ>
『Webアプリケーションアクセシビリティ──今日から始める現場からの改善』
『デザイニングWebアクセシビリティ - アクセシブルな設計やコンテンツ制作のアプローチ』
ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック(デジタル庁)
Web Content Accessibility Guidelines (WCAG)などの公式ガイドライン
・障害を持つユーザーと直接話をしてみる など

ユーザビリティとアクセシビリティをUX改善に活用するための評価項目

ユーザビリティとアクセシビリティをUX改善に活用するための主な評価項目として以下のものがあげられます。ユーザビリティの評価項目は、サービスがユーザーにとってどれだけ使いやすいかを判断するためのものです。一方、アクセシビリティの評価項目は、サービスが障害を持つ人々や高齢者を含む全てのユーザーが利用できるかを評価するためのものです。これらの評価基準を満たすことで、ユーザーの使いやすさと満足度が向上し、サービスがより広範なユーザー層で利用可能なものになります。

<ユーザビリティ>
1. 効率性:タスクを初めて達成するために必要な時間やステップ数が最小限であるか
2. 簡単さ:初めて使う人でも簡単に理解し、使い始めることができるか
3. エラー: ユーザーがエラーを起こしやすいか、エラーが起きたときに容易に修正できるか
4. 覚えやすさ: 一度使った後で再度使用する際にその操作方法を覚えていられるか
5. 満足度: ユーザーがサービスを使用した後に満足感を得られるか
< アクセシビリティ>
1. カラーコントラスト
: 色覚障害者や視覚障害者がテキストや画像を明確に理解できるか
2. テキストサイズ: 十分なテキストサイズとスペーシングになっているか
3. わかりやすさ: 直感的で明確な操作になっているか
4. 堅牢性: コンテンツが様々な技術、特に支援技術に対して十分に互換性を持っているか

IA(情報アーキテクチャ)

IAとは

IA(情報アーキテクチャ)は、情報を整理・構造化し、それをユーザーが見つけやすくするための考え方です。具体的には、ウェブサイトやアプリなどにおける情報の配置や組織、構造を設計する役割を担っています。これらをうまく設計し適用することで、ユーザーが必要な情報を迅速かつ効率的に見つけることができるようになります。

IAの基礎を学ぶ方法

関連書籍などでのIAの基礎的な知識の学習に加え、 IAの一部であるカテゴリ分けやラベリングを理解するためにカードソートを試してみましょう。カードソートは、情報をカテゴリーごとに整理する実践的な方法で、IAの基本的な概念を体験的に理解するのに役立ちます。

関連書籍などでの学習
U-Site
『オブジェクト指向UIデザイン──使いやすいソフトウェアの原理』
『今日からはじめる情報設計 -センスメイキングするための7ステップ』
『IA/UXプラクティス モバイル情報アーキテクチャとUXデザイン』 など

IAをUX改善に活用するための評価項目

IAをUX改善に活用するための主な評価項目として以下のものがあげられます。評価項目は、良好なIAがユーザーに対して簡単なナビゲーション、明確な構造、そして一貫性のある体験を提供できているかを判断するためのものです。これらの評価基準を満たすことで、サービスの情報はユーザーにとって探しやすく、理解しやすいものになります。

1. 探しやすさ: ユーザーが情報を簡単に見つけることができるか
2. わかりやすさ: サイトの内容がユーザーにとって理解しやすいか
3. ナビゲーション: ユーザーがサイトを簡単に移動し、所望の情報にアクセスすることができるか
4. 一貫性: サイト全体で一貫した言葉遣いやデザインになっているか

ビジュアルデザイン

ビジュアルデザインとは

ビジュアルデザインは、ユーザーの視覚的な情報の理解と操作をサポートし、またサービスのブランドイメージを伝えるための要素です。これらの要素を理解して適切に使用することで、サービスのユーザビリティを向上させ、より良い体験を提供することが可能となります。

ビジュアルデザインの基礎を学ぶ方法

色彩理論、タイポグラフィ、レイアウト、バランス、コントラスト、一貫性などのデザインの基礎理論を学ぶことから始めましょう。また、優れたビジュアルデザインの例を見つけて研究することも重要です。それらがなぜうまく機能するのか、どのような原理が働いているのかを考えてみましょう。

関連書籍などでの学習
『ノンデザイナーズ・デザインブック [第4版] 』
『なるほどデザイン〈目で見て楽しむ新しいデザインの本。〉』 など

ビジュアルデザインをUX改善に活用するための評価項目

ビジュアルデザインをUX改善に活用するための主な評価項目として以下のものがあげられます。評価項目は、サービスがユーザーにとってどれだけ魅力的で使いやすいかを判断するためのものです。これらの評価基準を満たすことで、サービスは視覚的に魅力的になり、使いやすさが向上します。さらに、視覚的な一貫性はサービスのブランドイメージを強化し、ユーザーとの信頼関係を築くのに役立ちます。

1. 一貫性: サイト全体でデザインが一致しているか
2. 視覚的階層性:重要な要素が目立つようになっているか
3. 色彩: 色が情報強調やブランド特性を表現しているか
4. タイポグラフィ: フォントが読みやすく、ブランド性を表しているか
5. レイアウトとスペーシング:情報が整理され、要素間の関係が明確か
6. 画像とアイコン: 視覚的補足や直感的理解に役立っているか
7. 反応性:デバイスサイズや向きに応じて調整されているか

インタラクションデザイン

インタラクションデザインとは

インタラクションデザインは、サービスをより効率的でスムーズに、楽しく使用できるようにするためにユーザーとサービス(主にデジタルインターフェイス)との間で生じる相互作用を設計するものです。画面上でのユーザーの情報理解や行動(ボタンクリックやスクロール等)から、それらの結果(画面変化やフィードバック等)を明確にし、適切にガイドすることにより達成されます。

インタラクションデザインの基礎を学ぶ方法

インタラクションデザインの基本理論と原則を理解することから始めましょう。合わせて、UCD(ユーザーセンタードデザイン)の理解を深めることで、ユーザーとのインタラクションをより効果的に設計することが可能になります。

関連書籍などでの学習
『誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論』
『About Face 3 インタラクションデザインの極意』
『マイクロインタラクション ―UI/UXデザインの神が宿る細部』
『UIデザインの教科書[新版] マルチデバイス時代のインターフェース設計』 など

インタラクションデザインをUX改善に活用するための評価項目

インタラクションデザインをUX改善に活用するための主な評価項目として以下のものがあげられます。評価項目は、ユーザーとサービスの間の相互作用が効率的かつ直感的であるかを判断するためのものです。これらの評価基準を満たすことで、サービスはより直感的に使いやすくなり、エラーの発生率の低下やユーザーの目標達成の効率性向上につながります。

1. 明瞭さ: ユーザーは何をすべきか、次に何が起こるのかを明確に理解できるか
2. 予測可能性:ユーザーがアクションの結果を予測できる設計になっているか
3. フィードバック: ユーザーのアクションに対しての反応が適切か
4. 効率性:ユーザーが目的を達成するために必要なステップは最小限になっているか
5. 許容性:ユーザーが誤ったアクションを行った時に簡単に修正できるか
6. アクセシビリティ: 様々なユーザーが利用可能なアクセシビリティが考慮されているか

学習をより深く実務に活かすために

UX改善に必要なそれぞれの基礎知識は、お互いに関連しており、ひとつだけに注力するのではなくバランス良く学ぶことが大切です。また、学習した基礎知識を実務の場で活かすためには、以下のような実践的な学習も不可欠となります。可能であれば、経験豊富なUXデザイナーやリサーチャーからフィードバックを得られる環境をつくるようにしましょう。

  • 実際のデザインを評価して問題点を改善する
  • 実際のプロジェクトでユーザー調査やユーザーテストを実施する
  • 既存のサービスをケーススタディとして評価や分析を行う
  • UX関連のイベントやワークショップなどに参加し同じ興味を持つ人々から学ぶ機会を得る

まとめ

本記事では、UX改善に必要な基礎知識とそれらを学ぶ方法、活用するための評価項目について解説しました。UXデザインはユーザーの視点に立って考え、実際に試してみることで成長できる領域です。どの要素もバランスよく学びつつ、実践的な学習を通して経験を積むことで、実務に活かすことができます。ぜひ本記事を参考に、UX改善のための学習に取り組んでみてください。

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